アンティークのエナメルというもの
今回は、アンティークエナメルについて・・・
今でも、宝飾店でエナメルと呼ばれるアクセサリーは見かけますが・・・
実はアンティークのエナメルと、現行のエナメルは全く違うものなんです。
フィレンツェで、金細工の工房を主宰する兄弟からの話なのですが・・・
昔のエナメルは、ガラス質。当たり前のようでいて、、、、
今のエナメルは、実は化学物質で、あえて言えば、レジン樹脂に近いものだそうです。
昔のエナメルは、窯に入れる温度が800-850度。焼き時間は30分から1時間半。
今のエナメルは、窯に入れる温度は40-50度で、焼き時間は40分。
15年か20年前から、どんどん本当のエナメルをする工房が減っていき、今では、ルネッサンスの時代からポンテヴェッキオ橋にお店が並ぶ金細工で有名なフィレンツェでも、ただ一人の職人さんがこの昔からのエナメル技術を継いでいるそうです。
まず何と言っても、高くつく。そして、難しい。
ガラス質のエナメルを均一に透明に仕上げるのは相当の技術を要し、色ごとに窯に入れて焼き、その長い工程の途中で失敗する可能性も高いとのこと。。。
特に、曲面にエナメルを施すのは難しく、釜の中で割れてしまうことも多く、今では、イタリアでも作られていないそうです。
Early SummerとTesoro*テゾーロでも、いくつかですが、アンティークのエナメルを扱っています。
私は、どうもクール&スマートなエナメルに惹かれるようです。
先月NewUpした、ギロッシュエナメルが上面に施された純銀(800/1000)の、スナッフボックス。
Tesoro*テゾーロ《美しい小物とオブジェ》にて。
お天気の良い日の地中海のような、深く明るいブルーに目を奪われます。
ガラス質のエナメル細工は、コツンとぶつけるとひびが入りやすく、完璧なコンディションのアンティークは、やはり高価です。
時代はアールデコ後期になりますが、すっきりとしたミニマルなフォルムは個人の好みに関係なく、子孫にずっと受け継がれるお品かと思います。
もうひとつダンディ&マニッシュな、エナメルケース。
フィレンツェの銀製品の老舗:SALIMBENIのお品。
Tesoro*テゾーロ《美しい小物とオブジェ》にて。
本来はイースターに贈られた、イースターエッグです。
粋と渋さの漂う色彩で、いつ見ても惚れぼれ。笑。
グレーのピンストライプのスーツが似合う、何歳になってもエレガンスを忘れない紳士を連想させます。
卵に対抗して貝も・・・*^^*
Tesoro*テゾーロ《美しい小物とオブジェ》にて。
素朴でリアルな・・・近くの海で採れたような、貝のピルケース。
貝の縞模様は描かれたものではなく、本体の銀の表面の堀に沿って、埋まったエナメルの厚みの違いから見えるものです。
このちょいと地味が良いかな~!
上記のお品、全てベースは銀無垢です。
アンティークジュエリーでは・・・
Tesoro*テゾーロ《アンティークジュエリー&アンティークボタン》にて。
目が覚めるような、まさしくアップルグリーンのギロッシュエナメルです。
ちょっとした、アンティークならではの仕掛けがあって、興味深い。
また、身に着けてもとても映えます。
さて、ギロッシュエナメル以外では、、、
Tesoro*テゾーロ《アンティークジュエリー&アンティークボタン》にて。
こちらはギロッシュではなく、金地を掘り下げて手袋の絵柄を浮き立たせ、青いエナメルで埋め、金地の上には彫刻を施して黒のエナメルを焼き付けたもの。
グレーのシードパールも美しきアクセント。
中は2面のロケットです。
Tesoro*テゾーロ《アンティークジュエリー&アンティークボタン》にて。(こちらはSOLDです。)
こちらも、厚みのある、微妙なグラデーションのエナメル面が本当のヴィオラの花びらのごとく、、、柔らかく見えます。
このほかの技法として、有線エナメルも。
クロワゾエ・エナメルと、フランス語で呼ばれます。
Early Summer 《ACCESSORY》にて。
高さ0.1ミリ、幅1ミリほどの金属線で仕切った中にエナメルを流し入れ、各色毎に釜で焼く、こちらも手の込んだもの。
Tesoro*テゾーロ《アンティークジュエリー&アンティークボタン》にて。(ブルー2個はSOLDです。)
意匠も美しい、フランス製のボタンです。
職人技がまだ生きていた時代の、、、やはりアンティークならでは、です。
今では作られないエナメル技法。
ガラス質なので変色無く、何時までも美しい色彩が、時を越えて私達を魅了します。