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2014年7月18日 (金)

カナパリネン

夏のシーツとして、もちろん1年を通しても、一度慣れるともう手放せないカナパリネンシーツ。

カナパとはイタリア語で大麻のこと。
英語でヘンプ、フランス語でシャンブルと呼ばれます。
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これがカナパの繊維糸です。
色は自然な麻色、濃い目のベージュ。
写真で見るより、実際はもっと艶やかで、アンティークドールの髪の毛みたい。
亜麻色の髪の少女って感じ。
今回、WebShopでご紹介のカナパリネンシーツは、ナポリ地方からのもの。

以下は、ナポリ出身のディーラーさんのお話。
南イタリアでは、カナパの栽培が盛んだったので、カナパは「Tela di famiglia=家族の布」と呼ばれ、各家庭で極日常に織られていました。
1930年代までは、大きな木製の手織り機が主流で、ペダルで縦糸を持ち上げし、木のシャトルに巻いた横糸を手で通して織っていました。※このBlogの《ホームスパン》を参照してください。
後に、半機械化と呼ばれる、常に電力は使わず人力で織られるものでしたが、もっと横幅の広い織り機が発明され、、縦糸の上下がばね式になり、織り機の前を左右に人が歩いて織る織り機が、各家庭にも導入されました。
こちらは、以前の織り機よりも、織り目を細かく均一に織ることが出来ました。これは、1950年代まで一般的でした。
50年代頃までは、お嫁に行くときに持っていく、Corredo=コレードと呼ばれる嫁入り道具には、少なくとも15枚のリネンシーツ、多くは30枚ほどを持参したそうです。
また、その昔、民家では、リネンは、石の洗い桶にソーダと灰を溶かしたもので手洗い(足洗いかも?)していたので、リネンは丈夫である必要があったのです。
それには、カナパリネンはうってつけでした。
また、キッチンタオルなども、毎日がんがん洗える丈夫なものである必要があった為、厚手のカナパで織られました。Canovacci=カノバッチと呼ばれていました。(以前WebShopでも扱いましたが、キッチンタオルと言うより足拭きのバスマットと言うような風合いでした・・・)
カナパリネンは、とにかくそうして洗えば洗うほど、柔らかくなり、また風合いが増していくのでした。
現在では、イタリアでは、カナパリネンの栽培は行われていないとのこと。
また、以前にも書きましたが、各地方でかなり風合いが違います。
それは、その土地の気候や、また紡ぎ方の違いにもよるものです。
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今回、ご紹介の未使用カナパリネンシーツ。
未使用のシーツには、自分の手で初めから馴染ませる楽しみがあります。

《洗い方》
未使用カナパは、最初のお洗濯時には、リネン糸の色が出ます。
40~50度のお湯に洗剤を溶かし、一晩漬けてください。
それから通常の洗濯機で洗ってください。
経年のタンスシミ(これは、絶対に落とせます!)は、上記の漬け置きを2回ほどしてから、大きな鍋にお湯を沸かして、洗剤と少しの漂白剤を入れ20分ほど弱火でコトコト煮ます。その後、洗濯機で普通にすすぎをします。
イタリアですと、水が超硬水の為か、洗濯機で90度のお湯で洗うことが可能ですが、お鍋で煮た方が早くて経済的です。笑。

昔も、カナパリネンはお鍋で煮て洗ってもいたので、大丈夫です。
始めはごわごわ気味のカナパが、だんだん柔らかく風合いが増すのには、愛着を感じます。
そんな訳で、今回は未使用・未洗濯のカナパリネンシーツを、ご紹介です。
まだ、お持ちでない方にも、きっとこの良さを感じていただけますように・・・
そして、暑い夏に快適な睡眠を、お約束します

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