白磁のスーピエールの陰影
フランス語でスーピエール、イタリア語では、ズッピエーラ、
スープを入れて、食卓の中央に置く大きな陶器。
骨董市でも、冬の間によく見かけるもの。
秋頃から気になってて、、、もう3月なので、そろそろ姿を消しそうだし・・・
自分用に探してみようかなぁ~、なんて思っていました。
そして、先週の日曜日、出会ってしまった。
遠くから見ても、すぐ心惹かれました。
そこだけ、スポットライトが差しているようだったもの。笑。
1800年代後期の、ズッピエーラZuppiera. イタリア製。
特に気に入ったのは、下のお皿が付いているのと、肌の色。
丁度いい加減のアイボリー色。白すぎず柔らかい、艶やかな肌。
アンダーのお皿が付いているものはレアです。
下のお皿は、高台がきっかりとはまるようになった作り。
動かないので、スープをすくうときも安心感があるし、テーブルクロスを汚さない。
蓋の縁に、数か所の小さなカケがあるものの、自分用なんだから、今回は私が許せる範囲だったらそれでいいの~!
Fabrianoの窯元のバックスタンプが入っていますが、今はもうない窯元のよう。
つまみのデザインも、過剰すぎない慎ましい美しさで、イタリアらしい。
この部分の表面の消耗などは、味わい深くて、無いよりもあった方がいい。
本当に、アンティ-クの味わいと言えるディテールです。
ところで、これは、イタリアでももう消えてしまったアイテムの食器です。
50~60年代ごろまでは、どこの家にもあったものらしいけれど、その後は使われなくなりました。今では高級レストランぐらいらしい、実用しているのは。
骨董市でも、それぞれの時代のものがあって、注意深く見てるととても面白い。
大きいものなので、お皿などより、装飾の要素や全体のフォルムに特徴が出せる。
今回不覚ながらも、いろいろな時代のものの写真を撮ってくるのを忘れてしまったので、ご興味のある方はFaceBook(Antiques Tesoro)に、参考写真を載せましたので、どうぞご覧ください。
でも、テーブルの真ん中にあると、やはりとても優雅です。
今は、どう使うの?と聞いたら、家具の上にデコレーションとして飾ったり、蓋のないものは花器にしたり。。
おなか一杯の、満ち足りた幸せ感を連想させる、まあるいおおらかなフォルムにも、ほっとします。
花器としては、去年、エナメル製の蓋無しを購入して、既にシクラメンに使用中。
でも時々は、食卓で使ってみたいものです。
蓋を開けた時に、ふわっ立ち上る湯気と、美味しそうなコンソメス―プの匂い。
覗き込む、家族の笑顔。
古の幸せな夕食に、心を寄せて。